画像出典:がん患者の日常
長く続く抗がん剤治療は慣れてくるものの、やっぱり体に対する負担は大きいので蔑ろにしているとQOLがグッと下がってしまいます。僕が受けていた抗がん剤治療はFOLFOX療法だったのですが、多くの副作用がありました。なるべく治療終了後に後遺症として長引かないよう対策をしました。

抹消神経症状

症状:しびれ・刺すような痛み・感覚異常・のどが締め付けられるような感覚(冷たい物に触れることで症状を起こりやすくなり悪化する)

出来なくなったこと→手足がしびれて文字を書けない・箸を持てない・ボタンがかけにくい・飲み込みにくい・歩きにくい・水に触れる・金属に触れる

僕が行った対策:抗がん剤治療中は指先用に「着圧手袋」ひざ下用に「医療用弾性ストッキング」を着用して手足の先を圧迫しました。こちらは京都大学による「弾性圧迫グローブ・ストッキングを用いた圧迫療法による化学療法誘発性末梢神経障害発症軽減の臨床研究」を参考に行ってみましたが、治療期間中の手足のしびれは出たものの、治療後の後遺症とはなりませんでしたので、個人的には効果がありました。

また、日常生活では常に靴下と手袋を着用。手を洗う時はお湯が出るまで待って、ドアなどの金属に触れるときには常に手袋を確認してから触れることを意識。かなり大げさに聞こえると思いますが必ずやったほうが良いです。しびれが残ると本当に大変だと思います。

吐き気・嘔吐・食欲不振

症状:吐き気がする・嘔吐する・食欲がない

出来なくなったこと→一度に多く食べること・濃い目の味付け

僕が行った対策:妻に協力してもらい消化に良いものを少量づつでも食べれるときに摂っていました。やはり麺類や汁物に助けられましたし、術後の腸閉塞対策も行っていたので肉の脂身など細かく取り除いて食事を作ってもらうなどしてもらいました。

白血球減少

症状:発熱・寒気・咳・のどの腫れと痛み

出来なくなったこと→マスクなしでの外出

僕が行った対策:もともと白血球が少なく2週間で数値が回復しなかったため5週間毎の治療に延期されるほどでした。そこに関しては日を開けるしか出来ないとのことだったので、あとは風邪やコロナ対策として手洗い・うがい・マスク着用を徹底しました。

血小板減少

症状:出血しやすい(口や鼻)・出血が止まりにくい・あざができやすい

出来なくなったこと→強めの鼻かみ・綿棒での耳掃除・足や脛をぶつけないよう常に注意

僕が行った対策:粘膜が弱まっている印象でした。そのため鼻をかむ時や耳掃除など優しく行う習慣に切り替える必要があります。また、少し足をぶつけた程度で簡単にあざが出来るのですが、青あざの回復に数か月とかなり時間が掛かります。手足症候群の対策としても家の中でも手袋と靴下の着用で保護していました。

口内炎

症状:腫れや痛み・ただれる

出来なくなったこと→数が増えると食事が出来なくなるので不必要な間食など

僕が行った対策:食事のあとの歯磨きの徹底とコンクールFのようなマウスウォッシュを毎回行うことでとにかく数を増やさないようにしていました。それでも1,2個は出来てしまうのですが、酷い人は数が増えすぎて食事が摂れなくなることもあるのでしっかりやった方がよい対策です。

下痢

症状:軟便・水様便・回数が増える・腹痛

出来なくなったこと→トイレを気にせず外出

僕が行った対策:初期の治療ではいつ何時でもトイレに行けるよう電車で通院していたほどです。1,2駅ごとに降りてトイレに行っていたほどです。(※そもそも手術で直腸が短くなるのでそれほど便を溜めておけません)慣れもありますが、だんだんとサイクルのようなものが分かってくるで、治療後に30分程度じっくりとトイレに籠ってから帰宅するようになってから大分安定し、車での通院に切り替えることが可能になりました。それでも1,2度はパーキングエリア等でのトイレ休憩は必要です。

手足症候群

症状:手足がヒリヒリチクチク・赤く腫れる・ひび割れや水疱・爪の変形や色素沈着

出来なくなったこと→素足・素手・保湿なしの生活

僕が行った対策:とにかく保湿です。病院で処方される保湿クリームを徹底的に塗って、手袋と厚手の靴下で保護しかありません。特に足に症状が出てしまうと「家の中でも歩くの辛いから治療を辞めたい」という患者さんが多くいた印象ですし、院内スタッフにもとても気にしてもらっていた症状でもあります。保湿クリームはうっすら塗っても効果も薄いので、こんもりとたっぷり塗ることです。男性はみんな塗りすぎだと引いてしまう量だと思いますが、妻が務めるクリニックでの使用法です。このお陰で足の爪の色素沈着はあったものの、ひび割れや水疱。腫れるといった症状は治療中も出ませんでした。

赤血球減少(貧血)

症状:めまい・動悸・息切れ・白目・唇が青くなる

出来なくなったこと→睡眠不足

僕が行った対策:睡眠時間だけしっかりと取るようにしていました。特に症状として自覚するようなことはありませんでした。

色素沈着

症状:皮膚や爪が黒みを帯びる・黒い斑点上のものがあらわれる

出来なくなったこと→直射日光・帽子なしの外出・日焼け止めなしの外出

僕が行った対策:一度黒くなってしまうと代謝量や回復力が極端に減っている状態なので色が戻りにくいので、こちらも徹底対策が必要です。日中の外出時は日焼け止めクリームと帽子と長袖。散歩は夕方以降。夏場は極端に外出が減ったため、かなり体力が落ちてしまったのが失敗でもありました。現在は治療期間の合間にジムに通うようになったこともあり体力を取り戻しています。

他にも…

他にも使用する分子標的薬の種類によって幾つかの副作用があるので、投薬前に説明と対策を聞くことが出来ます。また、患者によって副作用の出る出ないが分かれ、程度もひとそれぞれです。僕の場合は約10か月程度の治療期間となりましたが、概ね対策をしっかり行っていたので体力の低下が一番の目立ちましたが、他の症状は割と早く収めることが出来ました。でも結局は肺に転移してしまったので、他の治療に切り替えることになったのですが…。