画像出典:がん患者の日常
抗がん剤治療は回数を重ねることで慣れてくる部分もありますが、体への負担は少なくありません。特にCapeOX療法のような治療では、副作用による日常生活への影響が大きく、対策を怠ると生活の質(QOL)が大きく下がってしまいます。

僕自身、CapeOX療法を約8か月間受け、副作用に対してさまざまな対策を行いました。その体験を元に、実際に感じた症状と対処法をまとめます。

1.抹消神経障害(手足のしびれ・感覚異常)

主な症状:しびれ、刺すような痛み、感覚の違和感、のどの締めつけ感(特に冷たいものに触れたときに悪化)

日常生活で困ったこと:
  • 文字が書けない
  • 箸が持てない
  • ボタンを留めにくい
  • 飲み込みにくい
  • 歩きづらい
  • 冷水や金属への接触が苦痛に
対策:
  • 京都大学による研究を参考に、「着圧手袋」と「医療用弾性ストッキング」を使用し、手足を圧迫して保護
  • 常に靴下と手袋を着用
  • 冷水や金属に触れる際は注意し、事前に手袋を確認
  • 手洗いはお湯が出るまで待ってから行う
これらの工夫により、治療中に症状は現れましたが、治療後の後遺症には至りませんでした。

2.吐き気・嘔吐・食欲不振

主な症状:吐き気、食欲低下、嘔吐

対策:
  • 妻に協力してもらい、消化に良い食事を少量ずつ摂取
  • 麺類や汁物を中心に、脂肪分の多い食材は取り除く工夫
  • 腸閉塞のリスクもあったため、食事内容に細心の注意を払う

3.白血球減少

主な症状:発熱、寒気、のどの痛みや腫れ

対策:
  • 治療間隔を医師と相談して延ばす(2週間→5週間)
  • マスクの常時着用、手洗い・うがいの徹底
  • 風邪や感染症予防を徹底して体調管理に努める

4.血小板減少

主な症状:出血しやすい、あざができやすい、出血が止まりにくい

対策:
  • 鼻をかむ・耳掃除など粘膜への刺激は極力優しく行う
  • 家の中でも靴下や手袋を着用して保護
  • 打撲によるあざは長期間残ることもあるため、注意して生活

5.口内炎

主な症状痛み、腫れ、ただれ

対策:
  • 食後の歯磨きとマウスウォッシュ(例:コンクールF)を徹底
  • 口内の清潔を保ち、口内炎の増加を防止

6.下痢

主な症状:軟便、水様便、頻回の排便、腹痛

対策

  • 通院は電車を利用し、こまめにトイレに行ける環境を確保
  • 治療後の排便のタイミングに合わせて帰宅時間を調整

7.手足症候群

主な症状:手足のヒリヒリ感、赤み、腫れ、爪の変形や色素沈着

対策:
  • 医師に処方された保湿クリームをたっぷりと塗布
  • 手袋と靴下で手足を保護
  • 足の痛みが強くなると治療の継続が困難になるケースもあるため、早期対策が重要

8.赤血球減少(貧血)

主な症状:めまい、息切れ、動悸、唇の青白さ

対策:
  • とにかく睡眠時間をしっかり確保
  • 自覚症状が少なかったため、体力維持に努める

9.色素沈着

主な症状:皮膚や爪の黒ずみ、黒い斑点

対策:
  • 日焼け止め、帽子、長袖の着用
  • 外出は日差しの少ない時間帯(夕方以降)に調整
  • 日焼け対策を徹底することで、色素沈着の進行を防止

最後に

CapeOX療法による副作用は人それぞれ異なり、出る症状や重症度も個人差があります。僕の場合は約8か月間の治療でしたが、丁寧に対策を続けたことで重篤な後遺症を回避できました。

ただし、残念ながら最終的には肺への転移が見つかり、他の治療法への切り替えが必要となりました。がん治療は長期戦です。副作用を「我慢するもの」と捉えるのではなく、早めに対策を講じることが、治療を続けるうえでの大きな助けになります。