画像出典:がん患者の日常
この記事では、僕自身が経験している「アービタックス+FOLFIRI療法」における副作用についてまとめます。

抗がん剤治療を始めるとき、多くの方が気になるのが「どんな副作用があるのか?」という点だと思います。僕の体験を通して、リアルな症状や感じたこと、対策として心がけていることを正直にお伝えします。

僕の治療内容:アービタックス+FOLFIRI療法

アービタックスは単独で使われることもありますが、僕の場合は「FOLFIRI療法」と組み合わせた治療を行っています。

FOLFIRI療法とは?
以下の3種類の抗がん剤を組み合わせた治療法です:
  • 5-FU(フルオロウラシル)
  • I-LV(アイリノテカン/レボホリナート)
  • イリノテカン
治療は2週間に1回のペースで、次のようなスケジュールで行われます:
  • 病院での点滴:約5時間
  • 自宅での持続点滴(携帯ボトル式の5-FU):46時間
  • CVポートを使い、点滴をつけたまま帰宅

抗がん剤と副作用

  薬の特徴 注意すべき副作用
 アービタックス・分子標的薬
・がん細胞表面のEGFRに作用し、がん細胞が増えるスイッチを止める
・アレルギー反応
・皮膚の症状(発疹・乾燥・炎症)
・間質性肺疾患
・心臓の機能低下
・低マグネシウム血症
・下痢
・眼の異常
・血栓塞栓症
 5-FU・抗がん剤
・がん細胞のDNA合成やRNA機能を阻害することで、がん細胞の増殖を抑える
・食欲不振
・下痢、軟便
・全身倦怠感
・吐き気、嘔吐
・白血球減少
・口内炎
・色素沈着
・脱毛
 レボホリナート・葉酸の誘導体
・5-FUの働きを高め、がん細胞の増殖を抑える効果を増強させる
・下痢
・骨髄機能抑制
・食欲不振
・吐き気、嘔吐
 イリノテカン・抗がん剤
・がん細胞のDNAを合成する酵素を阻害し、がん細胞の増殖を抑える
・骨髄機能抑制
・下痢
・吐き気、嘔吐
・食欲不振
・腹痛

注意すべき主な副作用

アービタックスは、従来の抗がん剤と比べても特徴的な副作用があります。また、FOLFIRI療法に含まれる他の薬の副作用も加わるため、さまざまな症状が出る可能性があります。

副作用には個人差があり、投与中に出ることもあれば、数日経ってから出ることもあります。ここでは、僕が実際に経験した症状を中心に紹介します。

1.アレルギー反応(5%程度)

僕はこれまでに3回ほどアレルギー反応を経験しました。

症状は治療直後に起こることが多く、以下のような症状が見られます:
  • めまい
  • 発熱感
  • 発疹
  • 息苦しさ
  • 寒気
対策:
  • 治療前には抗ヒスタミン薬を予防的に投与されます。
  • 少しでも異変を感じたら、すぐに医師や看護師に伝えることが大切です。

2.皮膚の症状(約80%の人に出現)

最も特徴的な副作用のひとつがにきびのような発疹や皮膚の乾燥・炎症です。これは、アービタックスが皮膚のEGFRにも作用してしまうために起こります。

症状:
  • にきびのような発疹(顔・胸・背中・腕など)
  • 皮膚の乾燥・かゆみ
  • 爪まわりの炎症・赤み
予防&ケアのポイント:
  • 低刺激の石鹸・シャンプーを使用
  • 熱いシャワーや長時間の入浴は避ける
  • 直射日光を避ける(帽子や日焼け止め、長袖の着用)
  • 保湿をしっかりと行う(無香料・無添加の化粧水やボディクリーム)
  • きつすぎない衣類や靴を選ぶ
  • 手袋や靴下を着用して摩擦を軽減

3.下痢(約50%の人に出現)

FOLFIRI療法に含まれるイリノテカンの影響もあり、下痢が起こりやすくなります。僕自身も週に1〜2度のペースで症状が出ています。

症状:
  • 急性の下痢(治療中・治療直後)
  • 継続的な軟便や便回数の増加
対策:
  • 治療日はトイレの時間をしっかり確保
  • 水分を十分に補給(脱水予防が大切)
  • 食事はなるべく消化の良いものを選ぶ

その他に注意が必要な副作用

以下は発生頻度は高くないものの、重篤になる可能性がある副作用です。
 副作用名 発生率 主な症状
 間質性肺疾患 約1% 息切れ・咳・発熱・胸の痛み
 心機能低下 約1% 動悸・倦怠感・むくみ
 低マグネシウム血症 約10% 痙攣・筋肉のけいれん・しびれ
 角膜炎(目の異常) 約3% 目の痛み・違和感・視界のにごり
 血栓塞栓症 約1% 冷や汗・呼吸困難・吐き気
大切なポイント:
  • 少しでも異常を感じたら、我慢せずにすぐ医療スタッフに相談
  • 「こんなこと相談してもいいのかな?」と思っても、必ず伝えることが安全につながります

おわりに

副作用は怖いものですが、事前に知っておくことで対策も可能です。
僕自身も、体の変化に敏感になりすぎて不安になることもありますが、「自分の体と向き合うこと」が治療を続ける上でとても大事だと感じています。

この記事が、同じような治療を受ける方の参考になればうれしいです。
不安がある方も、「自分だけじゃない」と思っていただけたら嬉しいです。