画像出典:がん患者の日常
大腸がんの手術後、体力の回復や合併症の予防のために欠かせないのが「適切な食事管理」です。
特に術後しばらくは、消化機能が一時的に弱まるため、便秘・下痢・腸閉塞(イリウス)などが起こりやすくなります。

この記事では、僕自身の体験をもとに、術後の食事で注意すべきポイント、控えた方がよい食品、摂りたいおすすめ食材についてわかりやすく解説します。

術後の消化機能の変化とは?

大腸は、食べ物の最終処理として水分の吸収や便の形成を担っています。
しかし手術後はこの働きが弱まり、以下のような症状が出やすくなります。
  • 頻便や下痢
  • 便秘
  • 腸閉塞(イリウス)
とくに手術後3か月程度は腸閉塞のリスクが高いとされており、食事内容に注意が必要な期間といえます。

好ましい食品と控えた方が良い食品

好ましい食品とは「消化によい食品」であり、控えた方が良い食品とは「消化に悪い食品」や「ガスが発生しやすい食品」「刺激が強い食品」となります。
  好ましい食品 控えた方が良い食品
 穀類 お粥、軟らかいご飯、うどん、食パン、マカロニ 玄米、赤飯、玄米パン、胚芽入りパン、ラーメン、チャーハン、焼きそば
 芋類 じゃがいも、里芋、長芋、大和芋 さつま芋、こんにゃく、しらたき
 肉類・魚類 皮なし鶏肉、ささみ、脂肪の少ない牛・豚肉・レバー、はんぺん、白身魚、かき 脂肪の多い肉(バラ肉、ベーコン)、貝類、いか、たこ、干物
 大豆・大豆製品 豆腐、ひきわり納豆、きな粉、高野豆腐、やわらかい煮豆 大豆、枝豆
 卵・乳・乳製品 卵、うずら卵、牛乳、ヨーグルト、乳酸菌飲料、チーズ 制限はほとんどなし
 野菜・海藻類 軟らかく煮た野菜、かぼちゃ、かぶ、キャベツ、大根、ニンジン、白菜、ほうれん草、ブロッコリーなど 食物繊維の多い野菜、ごぼう、筍、れんこん、ふき、わらび、長ねぎ、きのこ類、かたい漬物、昆布、わかめ、ひじき
 果物 缶詰め類、バナナ、桃、りんごなど 繊維の多い果物、パイナップル、ドライフルーツ、酸味の強い柑橘類
 調味料 植物油、バター、マーガリン、マヨネーズ、生クリーム ラード、ヘッド、香辛料、わさび
 嗜好品 番茶、麦茶、ジュース、薄いお茶、薄い紅茶、薄いコーヒー 炭酸飲料、アルコール、濃いお茶、コーヒー
 菓子類 カステラ、ゼリー、ビスケット、ホットケーキなど 揚げ菓子、豆菓子、辛いせんべい、濃厚な甘みの和・洋菓子

術後の食事管理で大切な5つのポイント

術後の食事は「何を食べるか」だけでなく、「どう食べるか」も非常に重要です。以下は、医師や栄養士からもよく指導される基本のポイントです。
  1. 食べ過ぎず、規則正しい食事を
  • 一度にたくさん食べず、1日3食をゆっくりと
  • 間食も適度に取り入れ、空腹時の胃腸負担を軽減。
2. よく噛んで、ゆっくり食べる
  • 消化を助けるために、1口30回以上噛むことを意識。
  • 噛むことで満腹感も得られ、食べ過ぎ防止にもなります。
3. 消化がよく、栄養価の高い食材を中心に
  • 肉・魚・卵・大豆製品・乳製品など、高たんぱくで消化に優しい食品を中心に。
  • 炒めるより煮る・蒸すなどの調理法がより負担が少ないです。
4. ガスや刺激を与える食品は控える
  • 例)さつまいも、豆類、唐辛子、カレー粉など
  • ガスが溜まりやすく、腸を刺激しすぎてしまうことも。
5. 飲み物にも注意
  • カフェイン(コーヒー・濃いお茶)
  • 炭酸飲料
  • アルコール
これらは腸の働きを乱す原因になることがあるため、量を控えるか、体調を見ながら摂取を調整しましょう。

僕の場合:術後6カ月続けた“腸に優しい食生活”

一般的には術後3か月間が「消化にやさしい食事」を心がける期間とされていますが、僕は6カ月間、以下の点に気を配り続けました。
  • 刺激物・ガスが出やすい食材は避ける
  • 食物繊維も水溶性を中心に摂る
  • 毎食をゆっくり丁寧に食べる
特に心配だったのは腸閉塞のリスク。そのため、消化器に負担をかけない食事を徹底しました。
この間、食事を作ってくれた妻の協力は本当にありがたく、振り返るとこの期間の食事管理が体調回復に直結していたと感じています。

食事管理は“治療の一部”

大腸がんの手術後は、どうしても「何を食べたらいいのか?」という不安がつきまといます。
ですが、食事は回復を支える大事な治療の一環。医師の指導に従いながら、自分の体調と相談して、できる範囲で無理なく続けることが大切です。

僕自身も「食事で体調が整ってきた」と実感する瞬間が何度もありました。
不安になりすぎず、小さな変化に気づきながら前向きに続けていくことが回復の近道だと思います。