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がんセンターって、どんな場所?
がんの診断や治療で初めて足を運ぶとき、不安を感じる方は少なくないと思います。僕もそうでした。「暗くて静まりかえっているんじゃないか」と勝手にイメージしていました。でも実際に通い始めて、その印象はガラリと変わったんです。
この記事では、僕が通っている神奈川県立がんセンターの雰囲気や設備、通院の流れ、スタッフの対応、面会ルールなどについて、体験をもとにご紹介します。
エントランスに漂う焼きたてパンの香り
神奈川県立がんセンターは、近代的な建物で、エントランスを入るとすぐにベーカリーカフェがあります。焼きたてのパンの香ばしい匂いがロビーに広がり、「ここが病院?」と一瞬戸惑ってしまうほど。
患者さんの表情にも前向きさが感じられ、「がん=暗くて重い場所」という先入観は、すっかり払拭されました。
がんに特化した医療施設だからこその安心感
がんセンターは、その名のとおりがんの専門医療に特化した施設です。2025年現在、日本国内には「がんセンター」と名のつく医療機関が16カ所あり、地域の中核病院として高度な医療を提供しています。
周囲の目を気にせず、同じ病気と向き合う人たちと過ごせる環境は、心理的な安心感にもつながります。偏見や無理解から距離を置ける空間というのは、それだけで心が軽くなるものです。
神奈川県立がんセンター病院概要
名称 | 地方独立行政法人 神奈川県立病院機構 神奈川県立がんセンター |
所在地 | 神奈川県横浜市旭区中尾二丁目3番2号 |
敷地面積 | 37,425.56㎡ |
建物構造 | <病院棟・管理研究棟> 地上7階、地下1階 <重粒子線治療棟> 地上2階、地下1階 |
建物面積 | <病院棟・管理研究棟> 51,463.93㎡ <重粒子線治療棟> 6,999.47㎡ |
診療科目 | 循環器内科、糖尿病・内分泌内科、呼吸器内科、呼吸器外科、血液腫瘍内科、消化器内科、消化器外科、精神科、脳神経外科、頭頸部外科、形成外科、皮膚科、乳腺外科、内分泌外科、婦人科、泌尿器科、腫瘍整形外科、放射線診断科、放射線治療科、感染症内科、漢方内科、内科、麻酔科、緩和ケア内科、歯科口腔外科、リハビリテーション科、病理診断科 |
許可病床数 | 415床 |
指定施設 | 都道府県がん診療連携拠点病院 がんゲノム医療拠点病院 |
駐車場 | <第1駐車場>203台 <第2駐車場>122台 |
院内の販売施設も充実
神奈川県立がんセンターには、以下のような施設が整っていました。
- コンビニエンスストア
- 美容室
- ベーカリーカフェ
- レストラン
- 自動販売機
入院や通院が長引くときにも、こうした施設があると日常を感じられ、気持ちが和らぎます。
外来の流れは効率的でスムーズ
初診の場合は、紹介状を持って1階の「総合受付」へ。2回目以降の再診では、「再来受付機」に診察券を入れるだけで受付が完了します。
その際に発行される「呼び出しカード(ポケベルのような機器)」がとても便利でした。検査や診察、会計までの呼び出しに対応しており、院内のどこにいても迷わずスムーズに移動できます。
面会ルールとコロナ後の変化
僕が入院していた時期(コロナ禍)は、面会制限が非常に厳しく、術前や退院時にしか家族と会えませんでした。
ですが、2025年2月以降からは面会ルールが緩和されています(病院によって異なる場合があります)。
現在の面会ルール(※2025年7月時):
- 多人数での面会や長時間の面会は不可
- 毎日面会が可能
- 小学生以下の子どもは不可
- マスクの着用が必須
入院前に病院の最新情報を確認しておくと安心です。
医師・看護師・スタッフの方々の対応
僕はこれまでに3回の入院と2年半の通院を経験しましたが、医師や看護師さんをはじめ、受付、検査技師、薬剤師、警備員さんまで、スタッフの皆さんはとても丁寧で温かい対応をしてくださいました。
もちろん病院によって差はありますし、ネットの口コミでは厳しい意見を見かけることもあります。でも、僕自身が病院内で怒っている人を見たのは、たった一度だけ。その方は、他医院で行った検査をがんセンターで再度受ける必要があることに不満を持っていたようでした。費用に関する説明は確かに大切ですが、僕としてはむしろ、スタッフさんの説明は丁寧で誠実に感じました。
最後に:がんセンターは「前向きになれる場所」
がんという病気自体には、不安や恐怖がついてまわります。でも、通う病院の雰囲気や人の温かさがあるだけで、心の負担は驚くほど軽くなるのだと実感しました。
がんセンターは、治療の場であると同時に、「同じ立場の仲間と出会える場所」でもあります。前向きな気持ちを支えてくれる空間が、治療そのものの一部になってくれる――そんな経験を、僕はこの2年半で得ることができました。