画像出典:がん患者の日常

僕が直腸がんで経験したリアルな流れ

がんの手術というと、不安や緊張を感じる方が多いと思います。僕自身、直腸がんと診断されたときは頭が真っ白になり、「手術ってどんな感じなんだろう」「ちゃんと終えられるのかな」と、先の見えない不安でいっぱいでした。

この記事では、僕が経験した入院から手術、術後の回復までのリアルな体験を、時系列で詳しくお伝えします。同じような状況にある方の心が、少しでも軽くなることを願って綴ります。

入院は手術の2日前からスタート

僕が入院したのは手術の2日前。
この日は術前検査の準備が中心で、比較的ゆったりとした時間を過ごすことができました。

手術前日は検査の1日

手術の前日は、朝から晩まで各種検査が続きます。内容は以下の通りでした。
  • CTスキャン
  • レントゲン
  • 心電図
  • 採血・検尿
  • 肺活量測定(麻酔のため)
  • 担当医師の問診・手術説明
  • 看護師さんによる生活レクチャー
術後のスケジュールや注意点についても丁寧に説明していただき、「何も分からず不安のまま手術を迎える」といったことはありませんでした。

術前で最もしんどかった「下剤チャレンジ」

手術前には腸内をきれいにする必要があり、2リットルの下剤を飲むという試練がありました。最初は「スポーツドリンクみたいで飲めそう」と思ったのですが、15分おきにコップ1杯というペースで飲み続けるのは本当にキツく、ついには便より先に嘔吐してしまいました…。

それでも看護師さんが「もう十分きれいですよ」と言ってくれたときは、安心と達成感でホッとしました。

手術当日|緊張と不安、そして一筋の希望

手術当日の朝、指定された紙パンツと手術着に着替え、いざ出陣。

手術室に向かう廊下の記憶はあまり残っていません。コロナ禍だったため、家族との面会は手術フロアの前で5分ほどだけ。でもその短い時間に妻がかけてくれた言葉が、心に強く残っています。

麻酔とともに意識がなくなり…

手術台に横たわり、麻酔科の先生が話しかけてくれる中、ふと気がつくと6時間が経っていました。

目を開けたとき、最初に出た言葉は「ストマ、付いてる?」でした。

ストマへの覚悟、そして回避できた安堵

手術前には、「切除の範囲によっては一時的または永久的にストマ(人工肛門)が必要になるかもしれません」と説明を受けていました。お腹に装着位置のマークも付けられていたので覚悟はしていました。

結果は、ストマは回避。通常の肛門機能を維持できたと知り、安堵のあまり涙が出そうになりました。

術後の痛みは想像以上だった

術後はHCU(準集中治療室)に1泊しました。

痛み止めを使っても追いつかないほどの強い痛みに襲われ、2日間はほとんど眠ることも、体を動かすこともできませんでした。「こんなに動けないとは…」と驚きと絶望が入り混じった時間でした。

手術翌日からのリハビリ生活が始まる

翌朝、通常病棟に戻るタイミングで初リハビリがスタート。ベッドから車椅子へ移るだけで激痛でした。

僕が受けたのはロボット支援下での腹腔鏡手術で、お腹に6カ所、2〜3cmほどの小さな切開だけだったのですが、それでもこんなに痛むとは想像していませんでした。

術後回復のカギは「とにかく動く」

最近の医療では、「寝たままでは回復が遅れる」という考えが主流だそうで、ベッドもフラットにならず、常に少し起き上がった姿勢で内臓に圧をかけるように工夫されています。

僕はというと、看護師さんに支えられながら10メートル歩くのがやっと。でもそこから、少しずつ、確実にリハビリが始まりました。

手術はゴールではなく「通過点」

がんの手術は、大きな山場であることは間違いありません。でも、僕が痛感したのは、「手術=終わり」ではなく、「手術=始まり」だということ。

術後の痛み、リハビリ、そしてその先の生活…。体も心もボロボロでしたが、それでも「一歩ずつでも前に進むしかない」と、自然と覚悟が決まっていきました。